この世界に、自分とまったく同じ価値観の人間なんていないことは分かっているし
いろんな価値観でいろんな人が生きていることも、重々承知しているんです
逆にこの世に自分と同じ人間しかいなければ、間違いなく偏り過ぎて回らないだろうなと思うし...
こんな極論まで引っ張り出してきて、なんとか自分を納得させているのに、自分と違う意見を言われるとやっぱりなぜか
- なんだか嫌な気持ちになったり
- 無性にイライラしてしたり
- もしくは、なぜか傷つく
頭では分かっているのに、どうしようもなくイライラしてしまって、心が言うことをきかない
もう大人だから、寛容で物分かりのいいフリをしているけど、いい歳して器の小さい自分が心底嫌になってきます
以前のわたしも、そうでした
わたしの場合は特に仕事の時に、この癖が強くでてしまっていました
同じように 「仕事の時だけ強く出る」 とか、 「特定の状況のときに無性に腹が立つ」 という方もいるかもしれません
思い当たることはありませんか?
実は、自分と違う意見を言われるとイライラしてしまうという方には、自分では気付かないようにしている意外な原因があります
原因が分かると、冷静に自分を見られるようになります
気付くだけでも、きっとこれまでとは受け止め方が変わっていきますよ☺
自分と違う意見を言われた時、「否定された」「責められた」「正してやりたい」と本音では感じている
自分と違う意見を言われることで、どうしてイライラしてきてしまうと思いますか?
もちろん、暴言を吐かれたり、失礼なことを言われたときは怒って当然です!
でも、そうではなく " 相手の意見が自分と違っている " というだけでモヤモヤしてしまう状況のとき
それはきっと、あなたが違う意見を言われたことで、本当はこんな気持ちを抱いている可能性が高いです
- 自分を否定された気持ちになって、傷ついた
- 責められている気持ちになって、傷ついた
- 相手の方がおかしい!正してやりたい!分からせてやりたい!という気持ちになった
" 怒り " という感情は心理学では二次感情と呼ばれていて、実はその奥に怒りの引き金となった本当の感情が隠されています
本当にあなたが感じた気持ちは、上の3つの感情に当てはまりませんか?
それぞれの原因をひも解いていきます
なぜ「自分を否定されている」と感じるようになったのか
違う意見を言われると否定されているように感じるのは、自分に自信がないからです
自信というのは、さまざまな表現がありますが
「自分でありのままの自分の存在を許し、ありのままの自分を信じている状態」
のことだと、わたしは考えています
違う意見に対して"否定された"と捉える方の心の中では、無意識だったとしても
「今の自分は、存在していていいのか」
という問いかけが定期的にあって、常にビクビクと怯えています
例えどんなに社会的に成功をしていたとしても、です
だから、違う意見を言われると
といった脳内変換が光の速さでおこなわれ、"自分の存在自体を否定された"と感知してしまっている可能性が高いです
誰だって、存在を否定されてしまったらいい気持ちはしません
自信がない人は自分が存在していても許される理由を探して回って生きています
ですから、存在を否定されることは一番のショックなんです
怒りは自分を守るための手段としても現れますから、「敵が現れたぞ!」と防衛反応として怒りが現れて当然の状況なのです
ただ、この自己無価値感を刺激されたことによる怒りを、多くの人は見たくないし感じたくないので、無意識下に押し込んだり、相手のせいにして自分の本音に気付かないようにしてしまいます
なぜ「責められている」と感じるようになったのか
これも、一番の理由としては「否定されている」と感じる理由と同じです
自分の意見や気持ちに自信がないので、違う意見を言われると
"あなたは間違っている" と変換されてしまって、責められているように感じてしまいます
そして、その防衛反応で怒りが現れます
それから、もう一つ。大元に隠れた要因があることが多いです
それは、" 自分の意見 "を言うことを親から認められない環境で育ったということです
恐らく親自身も自信が育まれることなく、親と異なる意見を言うことを禁じられた環境で育ったのでしょう
親はこれが当たり前のことだと思って、子育てをしているのだと思います
- 子供は親の言いなりであることが当然
- 違う意見は、反抗とみなす!
- 子供の分際で反抗するなんてとんでもない
といった思考回路に、親がガチガチにとらわれてしまっています
だから、あなたが親に自分の意見を言った時、恐らくこんなことを言われたことがあると思います
「お母さん(お父さん)が間違ってるっていうの?」
「あんたがおかしいんじゃない?」
「なまいき。子供が親に意見するんじゃない」
こういった環境のなかで育つと、相手と異なる意見を言うことは相手を責めることになってしまうんだ...怒らせてしまうんだと学びます
自分の意見を言う度に責められたら、子供は自分の意見を言うことができなくなってしまいます
自分の意見は常に間違っている、とすら思ってしまうでしょう
自分の意見を言って親の機嫌を損ねることを経験し、口を利いてもらえなくなったり、何らかのバツまで与えられたとしたら、生きていけません
そうなると、選択肢は親と同化していくことしかありません
こうやって、
- 自分の意見を言うことは相手を責めるし
- 自分も責められる
- 自分の意見を言うことはすなわち相手に対する反抗的な姿勢を意味すること
- 悪いことなんだ
という思考回路ができてしまいます
だから、逆に人から違う意見を言われた時に「責められている」と感じてもおかしくありません
なぜ「相手を正してやりたい!」と感じるようになったのか
これは、逆を言えば「大切にしていることがある」という表れでもあります
あなたが頑張って守っている"正義"や"信念"です
みんなが持っているものではありません。とても大切なものだと、わたしは思います
あなたが周りの調和などを大事にするために頑張っているのにも関わらず、なんにも考えていないような考え方でズカズカと正義や信念に反してきたから、怒りの感情がこみ上げてきたのだと思います
大切なものを雑に扱われたら、怒りますよね
ただ、その先に「相手を正してやりたい、分からせてやりたい」という考えが出てきたら、要注意です
「相手を正してやりたい、分からせてやりたい」という感情は、実行するしないに関わらず、あなたの中に一度は「無理矢理正された、分からされた」経験があるからです
誰かに「あなたは間違っている、だから正してやる、分からせてやる」と、言葉や行動でコントロールされ、嫌な気持ちになった体験がありませんか?
または、そうやって相手を批判している様子をたくさん見てきていませんか?
コントロールされた経験がある人は、どうしても無意識に人をコントロールしたくなってしまいます
どうしても、他人に対して許せないことが多くなってしまうんです
違う意見を言われてなぜ傷つく?
最後に、違う意見を言われて傷つく理由です
これは上の二つ同様に自信がないというものが根っこにありますが、それ故に相手に自分を同化してしまっている状況の場合もあります
相手に健康的ではない依存をしてしまっています
相手と自分は違う人間で、違う意見、違う感情を持っていて当然のことなのに、自分と同じじゃない意見を言われると傷つく
あなたは自分に自信がないので、誰かに同化することで傷つかずに済むように自分を守っています
これは共依存という状態です
自分と相手との境界線が薄くなってしまっています
違う意見を言われると、自分と相手が違う生き物だということを実感することになり、見捨てられてしまうのではないか、一人では生きていけないと無自覚でも心の奥底で感じ、傷つくのです
もしくは、相手をかつて甘えられなかった親の代わりにしてしまっている可能性もあります
- 認めてほしい
- 分かってほしい
- わたしは間違っていないと言ってほしい
そんなふうに、親に満たしてもらえなかった願望をその人に満たしてもらおうとしているのかもしれません
すべては、トラウマによって開通してしまった思考回路の癖が原因
ここまで理由を述べてきましたが、これらはそもそもあなたが悪いわけではありません
大人になるまでの過程の中で
- 何者かによって自信を奪われてきてしまったり
- 自律を妨げられたことで自信が育まれなかったりしたこと
が背景に潜んでいます
それぞれのトラウマができてしまい、生き残るために、少しでも傷つかないように、あなたなりの自分を守るための思考回路をたくさん考え、開通させてきました
そして、この方法なら生き残れる!傷つかずに済む!自分を守れる!という体験を積み、あなたの思考回路は固定されていったのです
しかし、この思考回路は恐らくあなたをすごく我慢させるものが多いのではないでしょうか?
本当の自分を抑えこんで、犠牲にしても、円滑にいけばOK
そんな生き方を続け、結構苦しくなってきていると思います
あなたは、もう大人で何でも自分で選ぶことができます
もう、自由の身です
大人になってしまった今、時間を戻して親に自信を育んでもらうことはできませんが、自分と向き合うことを決めれば何歳からでも自分で自信を育んでいくことができます
そして、苦しくて辛い固定された思考回路の癖も、幸せが多く感じられる新たな道が開通するようになって、何度も何度もその新しい道を通れば、必ずその道が固定されていきます
いずれ、苦しくて辛い思考回路の道は閉ざされていって、通り方も忘れてしまう日がやってきます
自信がつけば、自分にとっての脅威が格段に減ります
大型犬が穏やかで、小型犬は身を守るために吠えたり威嚇したり忙しいのと似ています
必要以上に威嚇をしたり、武装をしたり、身を守る必要がなくなります
それは、すなわち防衛本能が作動して"怒り"が出る機会が減ることを意味しています
新たな思考回路の道を開通させれば、違う意見を言う人は敵ではない、むしろ違うからこそ、おもしろいと思える日がやってきます
いろんな人の異なる意見をニュートラルに聴いて楽しめる日が楽しみですね
その経験は、あなたに必ず人間としての"深み"をもたらせてくれることでしょう
さいごに、健康的な思考回路をもつひとが"自分と違う意見を言われた時"の思考回路もおいていきます